東日本大震災復興支援
門天プロジェクト

2011年5月5日木曜日

5/14/土、出演のピアニスト黒田京子さんへのインタビュー

黒崎 「支援する」ことについて、何か考えていることがありますか?

黒田     大震災以降、いろいろな所で様々なチャリティーコンサートが行われていますが、その直後や3月頃は、たとえば、急遽、通常のライヴを「チャリティーにします」といったことも、多くみかけられました。


でも、私はそうすることには賛成しかねる気持ちを抱えていました。多くの人が、自分にできることは何かを考え、やむにやまれず何かをやる、という気持ちは痛いほどよくわかりました。また、チャリティーであろうがなかろうが、その日に演奏する音楽の内容や質には変わりはないだろうと思います。


でも、そうした目的が生じることは、もともとのライヴをやることとは、意味が異なるのではないかと、私は考えました。さらに、それは足を運んでくださったお客様に失礼なことではないかとも思いました。チャリティーをするならば、感情からではなく、冷静に様々なことをしっかりと考え、最初からきちんと告知して行うべきだと思ったのです。


この門天プロジェクトに参加する以前に、他でもチャリティーコンサートへの誘いが私にもありました。そのうちの1つに、今回、この門天プロジェクトでのコンサートで歌ってくださる門馬さんが主催するチャリティー・ライヴに参加する予定があります。


彼女とは「どこに義援金を送るか?」ということで、何度もメールのやりとりをしました。


その際、とても役に立ったのがインターネットという情報媒体でした。阪神淡路大震災が起きた(1995年1月)のは、ウィンドウズ95が出る(同年11月)前、すなわちパソコンが飛躍的に普及する以前のことでしたから、今回の東日本大震災において、これまでになかったことの1つに、ツイッターを含む、ネット上の情報のやりとりが挙げられると思っています。デマ、誹謗中傷などもひっくるめて、です。


それで、私も探しました。日本赤十字社、中央共同募金会、被災地域の各自治体やその災害対策本部も、もちろん視野に入れました。でも、実際の給付先や分配方法などが、どうもよくわからないと感じました。集まったお金はどういう使われ方をされているのだろう?果たしてほんとうに被災した人たちに届いているのだろうか?という素朴な疑問がもやもやと心に残りました。


事実、たとえば、
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110429-OYT1T00792.htm
といった記事を読むと、この報道が事実かどうかは別として、書かれているような事態になっていることは、想像にかたくないなと思うところがありました。


そこで、根本的に発想、考え方を変えてみることにしました。


まず、私は東京にいる、ということ。(被災地に入るという話もありましたが、今のところ、東北地方には6月下旬に行く予定です。)ならば、現地に入って、現実を見据え、被災者に寄り添って活動している団体や組織を支援するということにしよう、応援しようと考えました。


また「そこに」寄付をするには強い動機も必要でした。自分と親しい友人や知人がかかわっている団体は、個人的な愛情や恩義などもあるので、気持ちが動きました。ほかに、その活動の具体的な内容や支援の仕方を知ることができ、それをweb上できめ細かく報告している組織、さらに、さらに物資や金銭だけではなく、人ともつながって行こうとしている組織に、私の心は共振しました。


それで、上記、門馬さんのチャリティーライヴでは、岩手県の民間有志による復興支援組織「結 ゆいっこ」に、義援金を送ることにしました。   http://yuicco.com/
この組織の花巻支部で積極的に活動をしている人を個人的に知っていたことや、門馬さんが北上市と関わりがあったことも、ここに決めたことの要因になりました。


さらに、門馬さんはFM花巻やIBC岩手放送と連絡を取り、この時のライヴ音源は、それらのラジオ局で放送してもらえることになりました。被災地へ音楽を届けようという彼女の強い気持ちがこうした人とのつながりを生んだのだと思います。


そして、今回、この門天プロジェクトでは、私は主として宮城県沿岸部の復興支援活動をしている「RQ市民災害救援センター」(予定 5/5現在)に、集まったお金を送ることにしました。 http://www.rq-center.net/


ここにも、私の友人が深くかかわっていることを、web上(このサイト内の動画ページで、現地ルポをしている人)で知ったこと、またwebを見ていただければわかるように、どういう活動をしているかが、手渡しされる感覚で感じることができ、なによりも、やはり「人とつながっていく」ことを大事にしていることが伝わってきたことによります。


言うまでもなく、門天ホールは東京・門前仲町で、長年に渡って「文化」を創る場を提供し、発信してきた所ですから、今後、こうした活動をしている民間団体から、たとえば、現地で音楽を演奏して欲しいとか、何か楽しいダンスを見せて欲しい、できればいっしょに踊りたい、落語家さんに面白い噺をして欲しいなどなど、何か要請や要望があった時に、「へい!がってんだい!」ってな調子で、こちらから出前のようなことができるようなつなが
りが持てたらすてきだろうな、とひそかに思っています。ですから、このプロジェクトが毎月継続的に一年を通して行われる予定であることは、とても意味があることではないかと思っています。
今は、Ustream配信、という方法も気軽にできるようになってきていると思いますが。


黒崎「へい!がってんだい!」
企画者ひとりひとりの思いを、手渡していく、そんな関係をつくっていきたいと
思います。Ustream配信も考えたいなぁ。


[黒田京子プロフィール]
東京都府中市生まれ。'80年代後半、自ら主宰したワークショップ「オルト」では、ブレヒト・ソングを素材に、ジャズだけでなく、演劇やエレクトロニクスの音楽家たちと脱ジャンル的な場作りを行う。'90年以降、坂田明(as)などのバンドメンバーや、演劇や朗読の音楽を長期に渡って務める他、無声映画への音楽提供、ジャズ講座の講師を担当するなど、その活動の幅はたいへん広い。'00年には「オルトペラ・アンサンブル」による音楽劇の公演を行う。'04年から6年間余り、太田惠資(vl)と翠川敬基(cello)とのピアノ・トリオの活動を行い、近年は即興演奏を主体とした演奏活動を行っている。'06年、オルト・ミュージックを立ち上げ、コンサートの企画も手掛ける。 


[共演者]
渡邊奈央  (歌手)
門馬瑠依  (歌手)

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